子供じゃないんだ。


誕生日で一喜一憂出来るか。



「まったく。素直じゃないんだから、蓮くんは!」



……素直に言ってるはずなんだがな。



それから一時間しないうちに、叶花が言ったメンバーが揃った。



「……どちら様」



だけど、結斗さんが一人、女の人を連れてきた。



「蓮くん、覚えてないの? ほら、花火したときに会ったでしょ!」



俺の呟きに、倍以上の声量で教えてくれた叶花。


そのせいで、俺が彼女のことを覚えていなかったことが全員に知られた。



だけど、誰も驚いた顔をしていない。



それにしても……花火……



「ああ、結斗さんの彼女さん」


「同じ学科の人! 蓮くん、記憶力よかったよね!?」



必要ないと思ったことは覚えないんだよ。



「永瀬亜美です」


「ケーキ屋に行ったとき、偶然会ったんだ。それで、蓮くんの誕生日をお祝いしたいって」



……よく、知らない人の誕生日を祝う気になれますね。



とは、言わないでおいた。



それで言ったら、杉崎さんも俺のことそんなに知らないわけだし。



「これだけの人に祝ってもらえるなんて、幸せだね、蓮」



……まあ、人の行為を無下にしようとは思ってないはずだから。