「先輩、自分の誕生日、忘れてたんですか」
なにも言ってないのにこっこにそう言われたってことは、そうとうわかりやすい顔をしていたのだろう。
「最近日付け感覚なくしてた」
「いつもでは」
……うるせえ。
だけど、物理的にうるさいやつがさらにはしゃいだ。
「お兄ちゃんに、こっこでしょ? 瞳ちゃんと、椿ちゃんと、芽生ちゃん! お母さんが来られないのが残念」
今年はまた増えたな。
いって、二人だが。
「杉崎さんとはあまり話してないんだけど」
「そんなの、関係ないよ! 蓮くんが知ってる人は呼ばなきゃ!」
その考え方はどうかと思う。
というか、俺を、じゃなくて俺が、なのか。
「あれ、そんなに呼ぶの? ケーキ足りないかも」
叶花がそんなに人を呼ぶとは思っていなかったらしい。
……去年から二人しか増えないが。
去年と同じ個数買っておけば、問題ないと思ったが……あまり考えないでおくか。
「じゃあ、私が買ってきます」
「いいよいいよ。こっこちゃんは叶花ちゃんといてあげて」
結斗さんはこっこに笑いかけ、また出ていってしまった。
……そこまでしなくてもいいんだが。
「蓮くん、迷惑そうにしないの! 嬉しいでしょ?」
「はいはい、嬉しいですよ」
「思ってないね!?」