俺も、もし叶花が急にクールで大人びたら怖い。
昔からの、変わらない性格を知っているからだと思うけど。
「……あっそ」
こっこは納得いかない顔をしたまま、下を向いた。
そんなこっこに叶花が声をかけようとしたら、ドアが開いた。
「あれ、今日はなんだか暗いね?」
下でなにかを買ってきたのか、ビニール袋を持った結斗さんが入ってきた。
「なにがあったの?」
「ちょっとね。そんなことより、お兄ちゃん、なに買ってきたの?」
叶花の無理矢理な話題転換。
慣れてくれば、隠したいことがあるんだと、すぐにわかる。
……でも、触れないのが決まり。
「ケーキだよ」
なんでまた。
「あ! そうだった、ありがとう!」
すると、叶花が思い出したように声を弾ませた。
……どうした。
「蓮くん、今日は読書はやめてね!」
「なんで」
さっき、そのままでいいって言ったくせに。
「蓮くんの誕生日! お祝いするから!」
俺の誕生日?
ああ、今日だったのか。