問い詰められないのか、と思ったが、こっこにそうする強者が果たしているのか。
「ごめんね、こっこ」
叶花は申しわけなさそうに笑った。
すると、こっこは叶花の頬をつねった。
「こっこ、痛い」
「痛くしてるもの」
まるで同級生のようなやり取り。
俺とは絶対になかったことに、叶花は少し嬉しそうだ。
……つねられている状態で喜ぶのは、どこかおかしいようにも思うが。
「ところで、先輩。なにしてるんですか」
こっこは叶花から手を離し、俺のほうを鋭い目で見てきた。
「見ての通り、読書」
「それ、家でも出来ますよね」
あーあ……
面倒だ。
「いいんだよ、こっこ。蓮くんはこのままで、いいの」
どう言おうか……考えてはいないが、俺が口を開くより先に、叶花が言ってくれた。
そうだそうだ。
もっと言っておいてくれ。
「どうして怒らないの」
だけど、それでも気に入らないこっこは、反論を続けた。
「だって、蓮くんはずっとこうだから。私としては、急に構ってくれるほうが怖くて、嫌だ」