まあ、叶花が誰かを悪いとは言わないんだろうが。
「蓮くん。私ね、もうずっと入院なんだって」
「……毎日来る」
それが、俺の……
俺にできることだから。
「またあの時間が来るのかあ。どうしよう、楽しみ!」
すると、叶花は本当に楽しそうに言った。
……なんでも楽しめるその性格、羨ましいよ。
「さくら、私も来るから」
目を腫らしたこっこがそう言うと、叶花は完全に表情を明るくした。
「本当!? やった!」
俺が言ったときの何倍も嬉しそうに。
まあ、当然か。
俺が来るのはどこか当たり前なところがあるし。
「私、無理して学校に行ってよかった!」
「無理して?」
俺の質問を聞いて、叶花は口を塞いだ。
今さらなにを。
たしかに違和感を覚えたが、すべて……というか、ほとんどを知った今、疑問には思わない。
体調がよくなったから、学校に行けたんじゃない。
本格的に行けなくなる前に、行っておきたかった。
……たぶん、そうだ。
それでも少しでも長く通いたくて、無理のない程度に、自分がやりたかったことをやったんだと思う。