「二人とも、おかえり!」
こっこのそれに触れようなんて微塵も思っていないが、叶花はそうさせないよう言ってきた。
「あのね、蓮くん。こっこにはもう言ったんだけど、私、学校辞める!」
……明るい声で、暗い報告をどうも。
「あれ、驚かないね?」
「こっこと話すことはなんとなく考えてたから」
俺はそう言いながら、飲み物を渡す。
「……そっか」
叶花はそれを受け取り、俯いた。
……なぜそこで声のトーンを落とす。
「理由は、考えた?」
「……なんとなく」
なんて、嘘だ。
俺は認めないと言いながら、結斗さんの話を信じた。
だから、叶花が学校に行けないと話す、なんていう考えが浮かんだんだ。
「ごめんね、蓮くん」
そう言って、叶花は泣きそうな笑顔を浮かべた。
……こんなときでも笑うのかよ。
「なんで謝るんだよ」
「えっと……隠してたから?」
それくらいで、謝らなくていい。
俺が聞かなかった。
だから、叶花は言えなかったし、言わなかった。
誰も悪くなんかない。
もし誰かを悪者にするなら、間違いなく俺だ。