おいおい……
どの口が言う。
認めたくはないが、叶花の病気は治らないとわかっているんだろ?
だったら、こうなることくらい、簡単にわかるんじゃないのか。
それとも、矛盾してることに気付いていないのか?
「蓮くん、なにか言いたげだね?」
「……別に」
これ以上、ややこしくしたくはない。
「さて、そろそろいいころかな」
結斗さんはそう言って、立ち上がった。
俺は自販機にお金を入れ、言われた飲み物のボタンを押す。
「お、今日は蓮くんの奢りなのかな?」
「……二人だけです」
そんな何人も奢れるような金は持ってない。
バイトが許されてない進学校だし。
使い道がほぼないから、小遣いはないに等しい。
「わかってるよ」
結斗さんは冗談と言いながら、叶花の病室に向かった。
俺も、それに続く。
そして部屋に入ると、こっこの目は、さっきよりもさらに赤くなっていた。