アーティスティックな男の子。










どうして私は



この世界に



生まれてきてしまったのだろう








本当は




本当は





















私、葉山ゆき。私立藤嶺芸術大学附属高等学校、二年生。


ピッチピチのJKです。


本作の主人公(仮)です。よろしく(笑)。


ちなみに今、私の顔は虚無となっていますが、悪しからず。


専科は音楽学科の作曲コースです。


あ、まだこの高校のこと説明してなかったですね。


この私立藤嶺芸術大学附属高等学校は、


文字通り、芸術を極めし者のみが入る単位制の専門学校みたいなもんです。


高校は音楽学科、美術科、著作学科、映像学科、総合アーティスト学科の計5個の学科に分かれます。


大学に入ると、


美容・ビジュアル学科、演劇・俳優学科、音楽学科、美術学科、脚本・シナリオライター学科、創作・クリエイター学科、ダンサー・パフォーマー学科、茶道学科、華道学科、クリエイティブディレクター学科と、


計10個の学科に分かれます。


さらにこの5個(10個)から枝分かれしてて、


私、葉山ゆきは、


音楽学科の作曲科コースと言う感じで、


〇〇学科の〇〇コースみたいな感じで分かれます。


あ、もちろん、必須単位として一般教科もしっかりとやってますよ。


学年が上がってく事に一般教科は減って、


三年生になると、必須単位は体育のみとなります(ドヤァ)。


羨ましーだろはっはっは(ドヤァ)。


ちなみに部活もたくさんあります。


スポーツ系から文化系、果てまで同好会まであります。


イベントもたくさんあります。


制服も可愛いし、髪染めもピアスもOK。


校則も特に無し。


なんて自由な学校なんだと思うくらい、


ホントに自由。


ちなみに私は今高校二年生なんで、


空き時間がめっちゃある。


必要最低限の単位しか取ってないもんだから、午後から学校に行く日が2回あるかな。


ちなみに今日は午前授業無しの日なんだけど、


学校に来てる。


そう、なんてったって…


『WiFiがあるからね!!!!!ゲームし放題だよ!!!!イエエエエエエエエエエアアア!!!』


「だからっつって保健室に入り浸ってんのは間違ってんじゃねーかと思うんだけどなあ、ゆき。」


『…えええ!いーじゃん、ケチ。つか顔怖い。』


「なんで単位制にしたか分かってんのかよ。生徒の練習時間を確保する為なんだよ。ゲームする為じゃねーんだよ。」


『いいじゃん!私はゲームが命なの!!LIFEなの!!!』


「英語に言い換えてるだけで言ってる意味はほぼ同じだバカヤロー。」


…この保健医は私の兄。


澄空 秋 スミソラ アキ、24歳。


私とは8歳差になるんだよね。


名字が違うのは、両親が離婚したから。


あ、ちなみに秋は去年までこの藤嶺芸術大学の生徒だったんだ。


今年から何故か附属の高校の保健医になったんだよね…。













『つかなんで秋がここにいんの?おかしくね?秋が保健医とか務まるわけないじゃん。』


「お前…今すぐここから出てけ。」


『やっだー。』


「ハァ…。」


『つーかさあ、秋。なんでデビューしなかったの?すれば良かったのに。天才だーって騒がれてた癖にさあ。』


「…ああ?」


秋は大学の音楽学科のヴォーカリストコースで、


大学内の首席で卒業してる、超天才ヴォーカリスト。


『卒業コンサートとかヤバかったよね。特に女。』


「…俺も一生忘れられねーよ…初めて女が怖いと思った瞬間だったわ…。」


『ホント、なーんでコッチ来ちゃったんだろうね。マジで。』


「よーく考えても見ろよ、ゆき。…妹の授業態度が悪い、妹が提出物も出さない、妹が授業をすっぽかす…よーく考えてみろ?よーく胸に手を当てて考えてみろ??」


『うーん、胸に手を当てても特に思い当たらないわあ。』


「そーゆーと思ったわ…。」


『つか、怒らない教師が悪い。』


「お前…見放されてるとか思わないのかよ。」


『思わないねぇ。だって私、超がつく天才だし。』


「…自意識過剰だ、バカ。」


『ぐおっ…いきなり頭撫でんなよ…ってえ!!!!ktkr!!!やっば!!激レアカード来たァァァァァ!!!!』


「お、マジかよ。…って、それ限定版じゃねーかよ。…ゆき、お前…今月いくら課金しやがった…。」


『大体…30万かな☆』


座右の銘:激レアガチャは出す(廃課金)。


「お前のバイト代高くね!?!?どこでバイトしてんだよ!」


『秘密。大丈夫大丈夫、全然危なくないから。』


「…ハァ…もうお前の兄貴疲れた…。」


『頑張れ!我が兄貴!!私を頑張ってお世話して!!』


盛大なため息をつかれた。


「…オラ、そろそろ授業じゃねーのか。」


『あ、ホントだ。…うわー、メンド…。』


「ちゃんと全部の授業に出たら、幻の青いカードをさずけよう。」


『よっしゃ頑張る。じゃ、またね!秋!』


「おーう、頑張れよ、ゆき。」









『あー…授業メンドい…ああああ…。』


てかそもそもここ広いんだよ…。


あと階段しかないってのも辛いよね。


全自動で私を教室に届けてほしい。


いやマジで全力で言うけどさ、4階に行くのがホントに辛い。


これを頑張って一年間登ってきたけどさ、


いい加減、辛い。


『…そうこうしている間に授業時間が迫ってくる…よーし、覚悟して登r』


「あ。」


ドサドサドサッ


『うぎゃっ!!!』


上の階から本の束が降ってきた。


そしてほぼほぼ全て私に直撃。


『痛…痛すぎる…。』


「あ、あの…すんません、俺…」




『これはもしかして授業に行くなという神からの暗示だな!!?そうだ!それだ!!』




「…すいません、頭大丈夫ですか。」


『え?大丈夫大丈夫。』


「…言い方間違えました、頭のネジ、大丈夫ですか。」


『大丈夫ー!』


「…落としてすいませんでした。じゃ、これで…」


ドサドサドサッ


「……。」


『…私も一緒に持っていこっか。』


「…すいません。」


これが彼との出会いだった。












『よっこらしょ…っと。』


「…ホント、すいません。」


『大丈夫大丈夫。大したことないから。…で、これどこに持ってくの?』


「3A。」


『3Aの教室ってことは…総合アーティスト学科の人か。』


「そうっすね。」


『しかもこの本…美容系に興味があるのか。』


「まあ、そうです。」


『先生に持ってこいでも言われたのか。』


「丁度、日直だったんで。」


『…あれ、もう一人は?』


「休み。」


『Oh…。つか1年の総合アーティスト学科担当の先生って確か…サトセンかクマさん辺りだよね。』


「俺は熊谷先生の方。」


『あ、クマさんの方か。てことは君、相当優秀なの?』


「…まあまあ。」


『お、否定しない辺り、素質は持ってるよね。あ、着いた。』


あー、両手塞がってるな。だったら…。


『よっこらしょ…っ!』


バァァンッ


「ッ!?」


足で開けました。


「おー、ちゃんと持ってきt」


『おーい、クマさーん。』


「…ちょっと幻覚が見えるな。」


『幻覚じゃないよ、クマさん。あ、総合アーティスト学科、一年生の皆さんこんにちは。』


「葉山お前…授業どうした…。」


『いや、神から受けるなって暗示が来たもんだから。』


「さっさと帰れ、葉山。」


『何だよー、せーっかくクマさんのお使いしてきたのにー…ねえ?…えーと』


「悠木。」


『そう!』


「…ハイハイわかったから、葉山はさっさと授業行く。」


『はーい。あ、いきなり知らない先輩が着ちゃってゴメンね?…ところでこのゲームやってる人挙手ー。』


「葉山…??」


『ゴメンゴメン(笑)じゃ、頑張ってね、総合アーティスト学科の一年生諸君!あ、悠木君もばいばーい。』


「……。」


ガラガラガラ


『さて…っと。確かこの時間…ソルフェージュだったよね。…はー、メンドイ。』











結局一時間サボった、葉山ゆきです。


大丈夫、そのあとの二時間はちゃんと授業受けたから。


『ふんふふーん♪』


「…あ。」


『あ、さっきの子。…えーと、』


「悠木。」


『そうそう、悠木君ね。名前は?』


「悠。結城悠悠きはるか…アンタは。」


『私は葉山ゆき。よろしく、ハル君。』


「…ゆき、さっきからずっと言いたかったことがあんだけど。」










『え?何?』


「…っ…が…い…。」


『え?』


「だから……肌が汚い。」


『…えっ。』


衝撃発言をされた、葉山ゆきでした。


「…肌荒れまくりすぎんだろ。ニキビ出来てるし。どーやって生活してりゃそうなるんだよ。昨日の睡眠時間は。」


『え、え?あ、えーっと…2時間かな。』


「最低でも8時間寝ろ。」


『えっ無理。』


「は?それ以上ニキビ出来てどーすんの?それ以上肌が汚くなってどーすんの??女の命の肌が汚いとか生命上終わってるんだけど??」


『えええ待って待って、ハル君落ち着いて??』


「最低でも8時間寝ろ。時間指定で10時には絶対寝ろ。」


『何それ早!!』


「早くねーから別に。」


『そんなんじゃゲーム時間確保出来ないじゃん!!』


「肌が綺麗になってからな。」


『えええええええええ絶対嫌!!ゲーム出来ないとかストレスで死ねる!』


「は?アンタ自覚無いの?もうオンナ的に死んでんだけど。」


グサリ


『グハッ』


「つかそもそも、その状態で歩いてるとかもはや恥でしかない。」


グサグサッ


『グハッ』


「そんなんだからモテないんだよ、アンタ。」


グッサァァ


『グッッハァァッ!!』


チーン…。


『ヤバい…なんか心をグサグサっと刺されまくった挙句に抉り取られた気分…。』


「惨めなオンナになるくらいなら死ねばいいと思ってるから、俺。」


『じゃあいっちょ死んでくる。』


「あの世にはゲームが無いから一生出来なくなる生活が待ってんな…。」


『頑張ってお肌治しまっす☆』


「よし、OK。じゃ、ケータイ出して。」


『え?あ、はい。』


「……ハイ、これ俺の連絡先。」


『あ、うん。』


「これから毎日連絡するから。ちゃんと動画付きで送れよ。」


『え”っ…毎日…?』


「決まってんだろ。」








『…やっぱりいy』


「オンナとして終わる人生、オトコにモテない人生、ゲーム出来なくなる人生がすぐそこに…。」


『頑張りまっす☆☆』


くっそ。


『…てかやり方わかんないからどーしようもないんだけど。』


「あ?…あー、そーいや…じゃ、こっち来て。」


『へ?え?あ、うん。』


そう言われて案内されたのは…


『…何だ、ここ。』


「何って…見たまんまだろ。メイクルームだよ。」


『いや、メイクルームなのここ!!?』


無駄に鏡が多い。めっちゃ明るい。めっちゃ化粧品がある。


『…もう二年生なのにこの場所知らないとか…ははっ。』


「じゃ、座って。」


『…もうどうにでもなれ。』


そうして約一時間。


『ええええヤバくね何この肌うる艶感ハンパねぇ。』


「だろ。」


誇らしげにそう言った。


『マイナス5歳…イヤ、マイナス15歳肌だ…!!』


「元々が40代の顔だったからな。」


『つーことは今25歳になったと言うわけか。』


「今だけだけどな。これを続けるとまあ大体2週間から3週間で今の年齢と同じくらいの肌年齢に戻ると思う。」


『まっっじか…。あー、でも私面倒臭がり屋だからこーゆーの無理だよ?』


「見りゃ分かるだろ、アンタがめんどくさがり屋っつーことぐらい。だから、ハイこれ。」


『…何、コレ。クリーム?』


「最近の化粧品は化粧水、保湿、乳液、パックとか色々な効果が一つにまとめられたやつがあんの。めんどくさい人とか、こーゆーの一ヶ月ぐらい続けとけばアンタみたいなその肌も何とかなる。」


『遠回しで酷いこと言われた。』


〜♪


ピッ


「…あ?…あー…そーいやすっかり忘れてたわ。…あ?…あー…ゴメン。」


『…えっ何、彼女?』


「あ?ちげーよ。…ああゴメン。なんでもねーよ。…あ?モデル?…あー…。」


チラッとこっちを見る零君。


「…丁度良いの見つけたから。…ああ、じゃ、早急に向かう。…ああ、じゃあな。」


ピッ


『…えー…何か嫌な予感しか無いんだけど。』


「よし、行くぞ。」


『いやいやいやいや何処に!!?』


「いいから。」


グイッと腕を掴まれて、強制連行。


『ええええええもう帰りたいいいいいいゲームやりたいいいいい』


「その口塞ぐぞ。」


『さーせんっしたー。』


そしてそのまま手を引かれて辿り着いた場所とは…










『…アレ、ここ衣服室じゃん。』


ガラガラガラ


「あー、やっと来た。おっそ。」


そこにはワンピース姿の可愛い女の子がいた。


「いいじゃねーか。モデル連れてきたし。」


「モデル…って、もしかしてこの女…?」


『…あ、どーも…ってえ!?モデル!?モデルって何!!?』


「え、なんも説明してないワケ?」


「いや説明したら絶対何がなんでも帰るだろ。」


「そう?」


『え?え?てか誰?』


「オレは桜庭 瑞希 サクラバ ミズキ。一応、アンタと同じ学年。」


『…女の子の一人称が“オレ”って珍しいね。』


「は?オレ男だけど。」


『うん、ですよね??あ、私は…』


「知ってる。葉山ゆきでしょ。有名だよ。」


『…え、有名なの?』


「だってアンタ、この前授業に乱入してきたし。」


『あ、そうだっけ?』


「あと、授業もサボりっぱなしで極度のゲーヲタ。」


『否定はしないね。つーことでゲームしたいから帰っていい?』


「ダメ。アンタはオレのモデルになってもらうから。」


『えええ…。』


「大丈夫。可愛くしてあげるから。」


『…これ絶対時間かかるやつじゃん…。』


「とりあえずスリーサイズ測るから。」


『えっっ…。』


男の子(女装)にスリーサイズを計られる…!?


気が動転してる間に計られた模様。


「…顔良し、体型よし。…やっぱ肌がね。」


「必死に改善しようとしてる最中だ。」


『…ゲームしたい…。』


「はい、もういいよ。じゃ、とりあえずそこ座って。」

『…え?…あ、ああ…。座って何すりゃいーの。』


「じっとしてて。ゲームしてていいから。」


『マジで!』


よっしゃー!ゲームすんぞー!


そうして約二時間が経過。


その間、私は凄く搾り取られた。


「じっとしてろって言ってんでしょ。」


「アンタのその顔にフリルは無い。カワイイ系は全く似合わない。その顔だと。」


「いい加減にしないとそのゲーム機ぶっ壊すよ?」


「…マジでいい加減にして。もっと静かにしてよ。犬でさえ静かに出来んのになんでアンタは出来ないワケ??犬以下だよね。ホンットにポンコツだよね。」


…ハル君と同じくらい毒舌だと言うことが判明。


つか犬を侮辱しちゃならんだろ…。


『…もう帰りたい。落ち着いてゲームしたい。』