「あ、でも、勘違いしないで。翠蓮……彩苑のせいとかじゃないからね」
優しい、笑顔。
前世ではいつだって、貴方のその優しさに甘え続けて、ずっと孤独にしてしまって。
「志揮……その、私、なんて言っていいか……」
「わー、違う!違う!謝罪して欲しいんじゃなくて……その、すごく申し訳ないお願いなんだけど」
「え?……私に、出来ること?」
「あっ、も、もちろん!」
「それなら、何でも聞くよ!何?何のお願い??」
志揮は、大切な仲間だ。
ずっと、ずっと彩苑を支え続けてくれた。
死んでからも……ずっと。
志揮はどこか言いにくそうに、でも、意を決したように。
「―っ、僕にも、名前をくれないかな!?」
「……名前?」
「そう!彩……翠蓮が嫌なら、良いんだ!ただ、僕は君が生きている間は、君にまた仕えたいと思っていて、君以外は嫌だからって言うっ、あ、でっ、でも!本当に、本当にっ、勝手すぎるお願いだから、嫌なら……」
翠蓮は思わず、引き気味の志揮の手を握って。
「嫌なわけない!」
―そう、叫んだ。
そう、嫌なわけないじゃないか。
大切な仲間で、恩人で、本当に……。