「わかった。それは別に構わないわ。貴方達のことを束縛しようなんて、思ってないし……」
「ありがとうっ!」
権力者だからといって、縛ることはしたくない。
下の者を虐げることしか出来ない権力者は、いつか、自身の城は崩れ落ちさせる。
この国は長く、永く、誰もが笑っていられる国であるべきだろうから。
それが、彩苑の願いだから。
「白麗、零、万与」
三人は顔を上げた。
そして、何かに気づいたように目を見開くと、その場に跪いた。
「お前達はどうか自由に、そして、幸福に」
自然と、口が動く。
きっと、彩苑が答えてくれた。
「五龍も縛らぬ。自由に、大空を羽ばたけ」
彼らを縛ることを望んだことは、一度もない。
この大地にいるのは、人だけでいい。
人の力だけで、出来ることもある。
志揮や、五龍、飛龍もその場に。
「―我ら神あるもの、主の御言を拝受し、主の御命尽きうる日まで、御仕え申し上げることを、神の名のもとに誓います」
(彩苑が望んでいたのはきっと、そういう事だから)
翠蓮は笑って、大きく頷く。
すると、志揮が近づいてきて。
「ねぇ、翠蓮」
「ん?」
「僕ね、長年生き続けたせいで、神様に近い存在になっちゃったみたいなんだ」
「……」
突然の告白に、目を見開く。