「万与さんは何だっけ?死んだ理由」


「……遠い記憶すぎて、忘れちまったよ。ああ、でも、確か、戦争で……」


「私は、もっと単純。誰かに殺されるのなら、自分で死んだ方がマシと思っただけ。―って、この話をすると、必ず、暗くなるのよねー。これが当然なのかしら?」


「さあ?人の世から離れて、何千年も経つから……」


「よねー」


明るく笑っている。


自分の死など、とうに乗り越えて。


これが、己の定めと受け入れて。


「私たちの昔話は置いといて」


白麗がその場に跪くと、それに零さんと万与さんも続いて。


「貴女に、改めて忠誠を誓うわ。この国を生きるものとして、あなた達の力になれるように。龍神達のように守れるわけでもなく、知識しか与えられないけどね」


「私も、普段は森にいるしな……」


「俺は国中ウロウロしているから、まぁ、呼んでくれたら、すぐに駆けつける」


不安定で、暗い過去を持つ三人は笑顔で。


「ということで、私と蒼炎は自由に、この国で生きていきたいの。呼ばれたら、馳せ参じるわ。だからどうか、皇宮に閉じこめないで」


炎稀に力を与え、


そして、元はただの人間である白麗。


龍神達のように行動することは不可能で、


零さん達が持っている能力もまた、


白麗は飛燕を産んだ時に失ってしまったらしい。