「万与(マヨ)さーん!」
「―……相変わらず、煩いねぇ」
「酷い!酷くない!?ねぇ、零(レイ)!」
「ハハッ、万与さんはそんな感じだよ」
現れたお婆さんと青年。
柔らかな笑みを浮かべた青年は、
「はじめまして、零です」
翠蓮たちの前に来ると、屈託のない笑顔を向けてきて。
「……白麗?」
説明を求めるつもりで目を向けると、白麗が。
「私以外の、賢者」
と、教えてくれた。
って、賢者って……。
「この国の三大賢者。私と零と万与さん。翠蓮は万与さんは分かるよね?彩苑を救った、この国最初の転生者」
「転生……?」
「違う世界から、お引越ししてきたの。自らの命を、自らで絶つことで」
その一言で、その場には沈黙が流れる。
ずっと黙っていた、灯蘭様は。
「それって……三大賢者は全員、自死したってこと?」
「ええ」
そして、何でもないように頷く白麗。
「生きているのが、辛かったの。上手く死ねなかった私達は、この世界にやってきた。そして、また、この世界でも上手く死ねなかったから、生きてきた。結果、大賢者ってわけ」
「そんな軽く……」
「軽くなるしかないんだよ。今、俺は俺達がいた世界との連絡網の森を司っているけど……だって、親に愛されなかった場合、親にとって、自分が荷物だと気づいた場合、どうやって生きていけばいいのさ?」
死んだ目で、語る零。