(流雲様に殴られてたより、黎祥に見られていた方が、先々帝には辛かったみたいなんだよな)


この二人におさまらず、他の子供たちからもかなりのことを言われていたみたいだし。


「―あ、いた」


何となく、何かを話すわけでもなく、微妙な空気が流れていた中。


「見っけ」


突然現れた、集団。


「……驚くから、もう少し、まともな出てきた方をしない?」


飛燕、飛雪、白華、紫艶、炎稀、蒼炎、白麗、飛龍、志揮―皆、各々に笑ってて。


「ごめん、翠蓮。僕らの間で決まったことを、報告させて欲しくて」


「報告?」


「そ!」


子供みたいな無邪気な笑顔を浮かべた志揮は、ずっと手放すことの無い巻物を開いて、それを読む。


「あのね、話し合った結果、これから先、五龍―飛燕、飛雪、紫艶、白華、炎稀がこの国の守護に当たることになる。そして、個人的な守護として、飛燕と白華が翠蓮と黎祥の守護をすることになったよ。本人の希望で、炎稀は第一皇子の守護を。紫艶は……変わらず、先々帝の守護に回りたいらしい。飛雪は決まってないけど、まぁ、いつかは自分で決めるって」


「守護って……それって、契約を交わすってこと?」


「そうだよ。まぁ、翠蓮が名前を与えた人達は基本的に守護に回っていなくても、翠蓮の召喚に応じるから、機会があったら試してみてね」


試していろと言われたところで、どんな状況下で試してみればいいと言うのだろうか。


とりあえず、まぁ、理解はしておこう。


「わかった……でも、比較的、黎祥を中心に守って貰えると有難いかな」


「どうして?」


「いや、皇帝だし……皇帝を大事にする方がいいでしょ」


「それ、昔、蒼覇が言っていた論だね。黎祥が聞くと、怒りそう」


志揮は、どこか楽しそう。