「ああ、金、土、水、火、木だろ?」


そんな常識的なことがどうした、と、見ると、飛燕はあっさりと、


「儂は、それの土じゃ。言うならば、土龍。……この国の守護神とも言われておるが、実質、翠蓮が存在しているから、翠蓮を守るためだけに、ここの守護神となっただけの事」


と、言う。


けどまぁ、当たり前かもしれないが、頭がついていくはずがない。


「…………ちょっと待て。理解が追いつかん」


待ったをかけると、


「他にも、金、水、火、木とおる。……翠蓮を慕うものは、翠蓮の御魂はとても、我らを引きつけるのじゃ」


止まることなく、彼は語る。


「……つまり、お前は翠蓮を守るために存在している神だという気か?」


「そうじゃ。翠蓮のために生まれ、翠蓮を守るためだけに存在している……まぁ、この国の守護神じゃな。だからといって、翠蓮の言うこと以外だったら、特に特別なことをする気もないが」


神……若干、信じ難い。


でも、神でもなんでも、祥基の手の届かないところで翠蓮を守ってくれるのなら、なんでもいいと思ってしまう自分には呆れてしまう。


「…………よく分からねぇが、まぁ、良い。翠蓮を頼む」


「そなた、軽いのか重いのかわからぬやつじゃのぉ。儂みたいな、明らかに怪しいヤツに大切な幼なじみを預けて良いのか?」


「信じてねーし、怪しいが……翠蓮を大切に思っていることは伝わってきたんだよ。そう思ってねぇと、普通、翠蓮を見て、そんなに愛しそうな顔をしねぇだろ」


祥基は片手で飛燕の胸を打って、立ち上がる。