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生徒会室はわたしにとって複雑な心境に陥ってしまう場所。楽しいことも、悲しいことも、全部ここで経験した。
こうして静かになるとどうしても思い出す。
冬弥先輩はわたしの全て。わたしは冬弥先輩が好きだった。
だからこそ秋くんへの想いに気づいた時、このまま断ち切れるんじゃないかって……甘い、考えだったよね。
「授業、サボっちゃった」
わたしの状態を見た夏海が気を利かせて、生徒会室の鍵を渡してくれた。
授業中の今、校舎内は静かでサボってるのは多分わたしだけ。またモジャに怒られるかな。
「にゃあ」
「え、え!?」
いつ開けたのか、生徒会室のドアに隙間が出来ていた。そこにいたのはあの猫、シロだ。
「校舎の中に入っちゃ駄目だよ」
「にゃにゃ」
「可愛く鳴いても駄目」
叱ってから抱き上げると、喉をゴロゴロいわせて撫でろと要求してくる。
「あんたねぇ。わたしが怒ってるのわかってる?」
「にゃん」
わかってないね、この子ったら。