「やっぱり駄目? 勉強? 秋に教えるって言ってたよね」

「今度の日曜日だっけ?」

「そう」

「……予定がまだで。すぐにわかると思うから、ゴールデンウィークまでずらせる?」



 嘘つき。
 本当は秋くんの顔が見られなくて、気持ちを整理する時間が欲しいだけ。


 わたしの臆病者。
 ちゃんと向き合わなきゃ駄目なのに。



「雪乃?」

「ねえ、夏海。相談したいことがある」

「そう思った」

「え?」

「ずっと、下ばかり見てたから」



 ああ、やっぱり夏海は憎めない。すごく大好きな親友。
 夏海を好きな秋くんの気持ちがすごく、わかるよ。



「夏海の惚気話も聞かなきゃ」

「あ。やっぱり言わなきゃ駄目?」

「当たり前でしょ!」

「雪乃が悩みなんて珍しいね。もしかして、秋?」



 全部わかってるみたい。
 でもきっと驚いて、秋くんに怒り出しそうだから止めなきゃ。突っ走る前に。



「え? 何?」

「わたし、ね」



 夏海に言おう。ちゃんとあったことを言おう。


 そう決意したら、涙が止まらなくなった。



「秋くんに……ふられちゃった」