「私だって怒ってないよ。神谷くんは、いつも私を心配してくれた……沢山話を聞いてくれたじゃない」
俺は、この気持ちをなんと呼べばいいのだろう。温かい感情が胸に沸き上がってくる。
「ねえ、海愛ちゃん。もし、俺を許してくれるなら……今度は本当の、友達になってくれるかな」
まるで初恋のような気恥ずかしさに襲われ、俺は苦笑いを浮かべた。
「もう、友達だよ。ずっと前から」
「ありがとう」
あふれる涙を堪えることはできなかった。
「ううっ」
その時、電話越しで海愛ちゃんの苦しそうな声が聞こえた。慌てる俺。
「え、どうしたの? 大丈夫?」
「最近体調が悪くて……風邪だと思う。大丈夫だから心配しないで」
「無理しないで、ゆっくり休んで。今日はありがとう」
「うん。またね」
電話が切れた後、俺はしばらく考え込んでいた。