「那音が僕の話を聞いて、親友やめるって言うなら、それでもいいから」
「は? なにそれ。だから、なんなんだよ」
優柔不断な僕の態度に那音は苛立っているように感じた。僕は意を決して言い放つ。
「僕、病気なんだ」
ついに、言ってしまった。
僕の心は真実を告げることができた喜びと、取り返しがつかないことをしてしまった絶望に包まれていた。沈黙が長引くほど、僕の絶望は大きくなっていく。カタカタと震える手首を押さえながら、僕は生唾をのみ込んだ。
「病気って、そんなに重いのか?」
「生まれつきなんだけどさ。僕、生まれた時から医者に二十歳までは生きられないかもしれないって言われてて……」
僕の声は震えていた。人に嘘をつきながら生きる生き方にはもう慣れたつもりだった。
けれどこうして自分の心を包み隠さずさらけ出す生き方を、僕は知らない。慣れない行動に体と心が対応しきれず、僕の額にはうっすら汗が滲んでいた。
「蓮」
那音に名前を呼ばれ、僕はビクリと体を強張らせた。
「な、なんだよ。僕だって悪かったと思ってるさ。今までこんな大事なこと隠してて」
いいわけにしか聞こえない言葉が次から次へと沸き上がってくる。僕は自分を取り繕うのに必死だった。対照的に黙り込んでしまった那音に僕の不安は一層大きくなっていく。
「なあ、蓮」