どれくらい走ったのだろうか、息が切れて苦しい。

でも、太陽はそんな私をよそに楽しそうに笑っている。

「ここ........ハァ......どこ、なのよ.....」

そう言って、太陽を睨む。

そんな私を見ると、太陽は

「ごめん、ごめん」

と、言って私の足と腰に手を当てた。

「え、なに?」

「よいしょっ」

そう言うと、太陽は私を軽々と持ち上げた。

こ、これってお姫様抱っこ!?

「離してよ!」

私がジタバタしていると、太陽は

「目、つぶって」

と、真剣な顔で私に言った。

「え......」

そんな真剣な彼に、何か文句を言えるわけもなく、私は素直に目をつぶった。

太陽は私を抱っこしたまま歩いていく。

なんなのよ......

しばらく歩くと、太陽は立ち止り

「美琴、目を開けて」

と、言った。

ゆっくりと目を開ける。

「あっ......」

目を開けると、そこは高い場所だった。

ゆっくりと太陽は私を下ろした。

周りを見渡して見ると、360度視界を遮るものはなく、綺麗な景色が広がっていた。

「すごい......」

自分たちの住んでいる町がとても小さく見える。

「この景色が見せたくて」

と言って太陽は、私に笑いかけた。