あの日から、私に対するイジメは無くなった。

しかし、クラス内でのイジメは無くならなかった。

ターゲットが、私から愛梨彩に変わったのだ。

私は何度も止めるように訴えたが、みんなには聞いてもらえなかった。

それからどんどんイジメはエスカレートしていった。


そんかある日の事だった。

「お前、目障りなんだよ」

「死ねばいいのに」

「やめて......」

「早く死んだら?」

「やめてよ......」

「あなた達、何してるのよ!」

今日もだ。

私の時と同じ。

放課後に、屋上で。

先生にバレないように。

「美琴......」

「やめなよ、こんなこと」

愛梨彩をかばうように彼女とみんなの間に入る。

すると、愛梨彩は私を押しのけて走って、屋上を出て行った。

「まって!」

慌てて彼女を追う。

「まって!」

階段の途中まで来ると愛梨彩は立ち止まった。

「大丈夫?」

彼女に駆け寄り、そっと彼女の名前の肩に手をかけた。

「離して!この偽善者!」

そう愛梨彩は勢いよく私の手を振り払って走って行ってしまった。

「愛梨彩......」

私にはわかる。

彼女の心には今、雨が降っているんだ。