「美琴は明るくて美人でみんなの人気者だった。そんな美琴には青野晴馬くんって言う彼氏がいたの」
彼氏の話なんて聞いたことがなかった。
「晴馬くんもイケメンで女子からの人気も高かった。だから美琴に嫉妬する子もたくさんいた」
「それで美琴は......」
「ううん」
「じゃあ、なんで?」
「そんな中、去年の夏休みに晴馬くんは車にひかれそうになった美琴をかばって.......」
話している女子は話の途中で、黙り込んだ。
「死んだ、のか?」
俺がそう言うと、そいつは小さく頷いた。
床にそいつの涙が落ちていくのがわかった。
「ということは、美琴の目の前で?」
「そこまではわからない.......でも......きっと美琴はその時に心に深い傷を負ったと思うの」
あいつはそんなに辛い思いをしていたのか。
それから俺は美琴の真実を知った。
美琴は彼氏を失っただけでなく、彼氏のお母さんやたくさんの人に攻められた。
夏休みが終わると、美琴の彼氏が好きだった5人組のリーダー格の女子があいつのことをイジメ始めた。
それはさっきの5人組だった。
あの5人はクラスの中心人物。
誰も逆らうことができなかった。
だからイジメが始まったんだ。
周りの奴らは自分がターゲットになるのが嫌で、美琴を見捨てた。
見て見ぬ振りをするようになった。
美琴の仲の良かった奴らまで。