どうして美琴に気づいてやれなかったのだろう。

あいつの気持ちも考えず、守っているつもりだった。

俺はなんでこんなにバカなんだ......

『さようなら』

そう言って泣きながら走って行く美琴を引き止めるなどができなかった。

情けない

頭を抱え、壁にもたれかかる。

それにあいつの言っていた本当の事って......

そう俺が考え込んでいると

「太陽くん......」

と、突然名前を呼ばれた。

見ると、そこには同じクラスの女子が立っていた。

「見てたのか?」

そう俺がたずねると

「うん......」

と、気まずそうにその女子は頷いた。

情けないところを見られてしまった。

「そうか」

そう言い残してその場を去ろうとした。

すると

「太陽くん、美琴を助けて!」

と、その女子は叫んだ。

意味がわからない。

「助けるって?お前にそんなこと言う資格はないだろ」

そう言ってその女子を睨む。

こいつはクラスの奴らと一緒に美琴のことをイジメてた奴だろ?

「それは......」

俺の視線にびびったのかそいつは目をそらした。

「もし、また美琴に手を出したら......」

「私は、私にはあの子を助けることができないの!」

そう言って、そいつは俺の言葉を遮った。

「どうしてだ?」