龍side

美恋ちゃんの下駄箱に手紙が入るのは
1日2回、朝と昼過ぎ
恐らく昼休みを使って入れている
5時間目の体育の時に既に入っていたと昨日、一昨日聞いた



「せんせー」
「あら、日向くん腹痛いから寝かせて」
「珍しいわね」

保健室に入り、ベッドに潜る

昇降口は保健室の隣、
保健室の前を通らないと生徒は昇降口には向かえない
ここにいる方がだいぶ行動しやすい

保健医は職員室に行き、ここは1人


廊下の音に耳を向けて神経を尖らせていた

1つの足音

何かを隠すような足音が昇降口に向かっている

静かに保健室のドアを開け

俺に背を向け静かに歩いて
手に持っている手紙を美恋ちゃんの下駄箱に入れる男子生徒の方を掴んだ
「おい、その手紙、こっちに渡せ」
「ひっ!」
ゆっくりと振り向く男子生徒は
弱々しそうな男
俺の手に手紙を大人しく渡してきたが
男子生徒の肩は掴んだまま
手紙を広げる


赤い文字、いつも見る字体、筆跡

「これ、渡されたんだ!!置いてくるように、」
「は?」
「雪兎 美恋の下駄箱にいれるように、ナイフで脅されて、」
俺を見る目は恐怖に怯えてる目だった
「、、、誰に渡された」
「、っ、、」
「言わないようにも脅されてるのか?
、大丈夫だ、お前は被害者なんだろ?
その頬のアザ、殴られたんだろ
言ってみろ」
「、小山って言ってました」

「先輩!」
パタパタと走ってきた莉子ちゃん
「どうした?」
ハァハァと息を切らし膝に手をつきながら顔を真っ青にしてきた
「美恋が、美恋が戻ってこないんです!」
「は!?」



生徒がたむろってる1年の廊下を走り
美恋ちゃんを探す


美恋が、トイレに一緒に行ったんですけど、私は外側の水道で鏡見てたけどなかなか戻ってこないんで、見に行ったんですけど、誰もいなくて、



莉子ちゃんにも着いてきてもらい、
俺は男子トイレに入り、
そのまま奥にある大きな窓を開けるとベランダに繋がってる
女子トイレも同じ造りのようで、
莉子ちゃんもベランダに出てきた

ベランダは外通路と言うように校舎の端から続いている
各教室から出れるようになっている
全階にも同じように外通路はあり、左奥に外階段で全て繋がっている

美恋ちゃんが消えた時、窓が開いていたという事は、連れ去られた
そう考えてもおかしくはない

この時間、人気がなく、人目につかないで行ける場所は体育館倉庫

嫌な予感しかしない

莉子ちゃんには先生を呼んでくるように頼み、俺は走る


ただでさえ重い倉庫の扉は内側から鍵が閉められているようでガタッと少し動くだけ
「ッチ」
くそ、
1箇所、屋根に登れるようにハシゴがかかっていた
こないだまで工事してたからその残りの道具のようで
そのハシゴを使って屋根に登り、
高い位置にある窓の方へ寄ると
中にからうめき声に近いのがきこえる

「んー!んー!!」