琥太side

帰りの車の中、美恋さんは窓の外眺めているだけだった

家に着いてから美恋さんは中庭に出て蓮池の前で座って流れる水を見ていた


｢琥太、車出してくれ｣
スーツに身を包み前髪を上げ、
オールバックにしている颯太さんが
だるそうに声をかけてきた
｢今日、会合の日でしたっすね｣
｢ったく、だりぃわ｣

｢美恋、ちょっと出かけて来るから、
寂しくても泣くんじゃねぇーぞ？｣
｢泣かないですよ。
１週間とかじゃないですよね｣
｢そんな長くねーよ、夜には帰ってくるから｣

言葉を交わして車に乗り込む

｢美恋さん、中学の時の奴らには怯えてたけど、高校は大丈夫っすかね、｣
｢龍が言うには楽しそうにクラスの友達といるってよ｣
｢そうっすか｣

颯太さんを送り出し、
車の中で時間まで潰そうと思ったけど、美恋さんが心配になり、家に戻ると
出る前と同じところに少しも変わらず座っていた

｢美恋さん？｣
｢、、、あれ？琥太さん｣
｢大丈夫ですか？｣
｢、うん｣
｢颯太さんが総会の間、ちょっと出掛けましょっか｣
持っていたスタンプカードをぴらっと出すとちらっとこっちを向いた
｢ポイント貯まったんすよー
俺のわがままっすけど、付き合ってくださいな｣

車を走らせ、世界で有名なコーヒー店

｢俺の奢りっす～｣

今月の期間限定のドリンク
有料カスタムの欄をじっと見つめていた美恋さんが小さい子みたいでちょっと笑っちゃった
生クリームたっぷりで頼んで嬉しそう

颯太さんに自慢したろ
美恋さんとツーショット撮って
颯太さんの迎えの時にでも送ったろ

｢琥太さん、連れてきてくれて、ありがとうございます｣

｢美恋さんには笑顔が似合うんすから｣

きっと美恋さんには
元気付けさせる為に連れてきたって
バレてんだろうな、