あれから一週間が過ぎた。

(下ネタ俳句事件)

「明日は何する?」

同級生の山田幸二が唐突にシュン(山下俊二)に聞いてきた。

「そうだなぁ〜〜明日は・・・」

「どうせ暇なんだろう」

山田はシュンにズバリと言った。

「まぁ、暇だけどさ」

「じゃ、明日は隣町まで行こう」

「何しに行くんだよ」

「いや、ちょっと・・・まぁ、いいじゃないか、暇なんだろう」

「・・・わかったよ、行くよ暇だから」

「ヨシッ!」

山田は何故かガッツポーズを決めていた。

何故、山田がシュンを強引に誘ったのか、それには訳があった。


3日前の放課後

「ちょっと来て」

「えっ、あっ、えっ」

リエが突然山田の腕を取り下駄箱の横に連れて行った。

「ねぇ、山田君はシュン君と仲良いよねー」

「うん、仲良いいよ」

「じゃ〜さぁ〜シュン君の好きな人とか〜知ってる」

〈リエは、活発で明るく人の恋話が大好物な、おせっかい焼きな女子である〉

(おせっかいとは何よ〜)

リエはズイと山田に近付き小さく鋭い声で聞いた。

「いっ、いや〜分からないよ」

(ちっ近いなぁ)

「ふーん、じゃ〜シュン君は〜誰に優しくしてる?」

リエは更に近ずく

「あっ、いや、川中メグミさん、かな」

「ふ〜ん、やっぱり!幼馴染だもんね〜」

「・・・らしいね」

リエは山田の襟首を掴んで

「ねぇー山田君に頼みたい事がらあるの」

「なっ!何を」

山田はタジタジになっている。

「うん、協力してくれたら〜」

「協力したら」

「協力してくれたらね・・・」

実を言うとリエは山田の事が好きだったのだ。
(ギャ〜〜やめて〜私の事はいいから〜)

「・・・リエさん、協力したら何?」

「うん・・・協力してくれたら〜〜キスしてあげる」

リエは顔を赤くして答えた。

「・・・まっ、マジでぇ〜」

「・・・うん!」

「やる、協力する、協力するよ」

「じゃ、詳しくは夜に電話するね」

(そんなに興奮しなくても)

リエは顔を赤く染めたまま、そう言って下駄箱の横から立ち去った。



時間は午後8時山田の家の電話が鳴った。

「もしもし山田です。」

電話には山田の母親が出た。

「もしもし私し加藤リエと言いますが、幸二君お願いします。」

「あー幸二ね、ちょっと待って」

山田の母親はデカイ声で幸二を呼んだ。

「う〜らぁ〜〜コ〜ジ〜〜!女の子から電話だよー」

受話器の向こうで、リエは苦笑いを浮かべた。

(あービックリした)

山田は二階の部屋から急いで階段をかけ降りて居間の横にある電話に飛び付いた。

「もしもし、おまたせ〜」

「あっ山田君」

「うん!・・・あっ、ちょっと待って」

山田の母親は居間の引戸の横で聞き耳を立てていた。

コウジは、引戸をゆっくり開き母親を優しく睨らんだ、山田の母親はブツブツ言いながら台所に消えていった。

「どうかしたの?」

「いや、なんでもない」

「そう、実はね、メグがシュン君の事を好きみたいなの」

「えっ!・・・マジで」

「でね・・・昨日の夜にメグにシュン君の事どう思ってんの?と聞いてみたの」

「うん、それで」

「それがね〜メグったらハッキリしないのよ!だから、今度の休みにシュン君と」

「シュンと?」

「だから〜山田君はシュン君を誘って〜私はメグを誘うから・・・」

リエのおせっかい心は燃え上がっているのだった。

(あはははワクワクしちゃう、たまんないわ)