「郁、席廊下側一番後ろじゃん、羨ま」

「遥は見事に真ん中」

「うっせ」


座席を確認し終えた2人はそれぞれに歩き出して自分たちの席へ移動した。

内の1人があっさりと座席の元に辿り着くと、私の隣の机に、荒々しくカバンを落とした。


デキモノと無縁のツルツルの美肌。

横顔から伸びる長く太いまつ毛。

シャープな輪郭と、片耳に光るピアス。



「……何?なんか用?」


「……っ!」


そして、ふいに向けたその冷めた鋭い眼差しに私の背筋が凍り、深く黒い瞳が私を貫いた。


「な、何でもないです」

「……」


七海は軽く舌打ちしたように見せて、私から目をそらした。

音を立てて椅子を引き、荒っぽく座る。