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「えーっ!七海くんからキスぅ!?」

「し、しーっ!声が大きいよ、咲ちゃん!」

「ご、ごめん。あまりの衝撃につい…」


あの後C組のクラスに担任の先生が入ってきて、すぐに入学式が始まるから移動するようにと指示を受けた。


隣の席に座っていた咲ちゃんにこの件をこっそり打ち明けると、彼女は自分の口を両手で押さえて大声が漏れないように注意して答えている。


「で、でもまさか小学生の頃まで美玲衣がこっちに住んでて、おまけに七海くんや郁磨くんと同じクラスだったことにはびっくり……」

「うん…。私もまさかこんなところで再会するなんて思ってもなくて…」


入学式は着々と進み、次は新入生代表挨拶だと言う。


私たちが壇上に目を向けていると、そこに上がってきた生徒はなんと……。


「えっ!な、七海遥くん!?嘘!確か、代表挨拶って入学試験首席合格者がやるんだよね?ってことは七海くんって入試トップだったってこと?」

「……!」


咲ちゃんの予想は正しく、この新入生代表挨拶は、入試結果が学年1位だった首席生徒によって行われるものだと聞いている。

つまりアイツは、成績だって私に勝っているんだ。


小学生の頃からしょっちゅう居眠りして授業もろくに聞いてはいなかったはずなのに、なぜかテストの結果だけはヤツがクラス1番なことが多かった気がする。

運動会も個人枠で最優秀賞を獲ったり、マラソン大会も上位3名のどれかには毎年入ってたり、確かにアイツは一見、非の打ち所がないような完璧な生徒だった。


まさか高校でもそれを早速発揮してくるなんて……。