「ほんとお前って泣き虫」


その日の放課後、皆が帰った教室で1人、黒板消しと日付の書き換えをしていた私。


今日は最悪な1日だった。

あの後の授業では当てられ、おまけに係決めの時間の記憶が巻き戻ってきて余計に上手く喋れなくて先生は困った顔をしていた。


それを見てクスクスと陰で笑う陰湿なクラスメイトたち。


またむかつくアイツは熟睡してて、先生はそれすら気付いてない。


悔しい。悔しい。

そう思うと、夕日の差したオレンジ色の教室で、私の涙を留めるものなんてなくて。


自然と我慢していたものが溢れてた。


「え?」

「俺、お前みたいな弱っちぃヤツって大嫌いなんだよな。おまけにチビだし」


嘘…?帰ってなかったの?

最悪だ。それが何よりも最悪だった。


こんなヤツに、悔しくて泣いている姿を見られてしまった。

でもいつもは泣かないように頑張ってたから、初めて見られたはずだった。


なのにアイツは、私のことを泣き虫だと言う。


いつも涙が止まらないときは隠れて泣いていた。

隠していたはずなのにバレていた。


最悪だ。最低最悪な状況だ。

よりにもよって、こんなヤツに。