皆の冷ややかな目つきが突き刺さって痛かった。

だけどこのままでは係が決まらない。

そもそも体育委員はアイツなんだから、ここで無理やり私が係を決めなくても、困るのはアイツ自身なんじゃ……。


なんて思ったけど、どうせ当日だってアイツは上手く理由づけをして器用に仕事をサボるに違いなかった。

つまり、結局働くのは学級委員のこの私。


係が決まらなくて困るのは私だとわかっていた。


「う、運動会のほ、ホド係になってくれる人……っあっ」


「プッ」


皆に注目される中で発言することに慣れていない私は、つい緊張から言葉を噛んでしまった。

それを見逃してくれる優しいクラスメイトなんかじゃなくて。



「アッハハ!!ホド係!おっかし。ホド係ってなんだよ、委員長」

「歩道を歩く係?それなら俺やりまーっす」

「俺も俺も。超楽じゃん。てか毎日やってるし!」


クラスの男子生徒たちは、口々に私の言い間違いを馬鹿にしてからかった。

私は恥ずかしさと悔しさで涙がこみ上げるのを必死に我慢していた。


熱くなる目頭から雫が溢れないように顔を上げると……目が合った。


アイツと。ーー七海遥と。


アイツは密かに口角を上げてほくそ笑んでた。



それが一番ムカついた。

大声でからかってくる子供みたいな他の男子たちから一歩距離をとって、余裕ぶった顔で傍観して、でも本当は心底私のことを嘲笑ってる。


許せない。


私をこんなやりたくもなかった学級委員に仕立て上げた挙句、日々のこの屈辱。


私、絶対に許してなんかやらないんだから。