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「え、えっと、あの……

だ、誰か、運動会の日に体育委員の補助としてスポーツ補助係になってくれる方は……」


当時、人見知りで自分の意見をはっきり示すことができなかった私は、立候補者のいなかった学級委員として、無理矢理アイツに推薦され、リーダー格のアイツの意見に賛同したクラスメイトたちにハメられて、やりたくもなかった委員の仕事を引き受けることになってしまった。


時は運動会のひと月ほど前。


当日は体育委員だけでは人手が足りないため、学級委員と、期間限定で募集されるスポーツ補助係が体育委員の助っ人として働くことになっていた。


そのスポーツ補助係を決める時間。

体育委員だったアイツはろくに働くこともなく席で堂々と居眠り。


先生は職員会議で不在な中、私は1人、まとまらない5年生のクラスで学級委員として進行役を務めていた。


「だ、誰かいませんか…?」

「そんなちっせぇ声でぼそぼそ言われても何言われてるかわかんねーよ、委員長さん〜」

「なぁなぁそれより今日の昼休み、校庭でサッカーしようぜ」

「おっいいなそれ。遥も誘おうぜ」


あっという間にクラスは各々自由な話題で盛り上がることになってしまい、スポーツ補助係はなかなか決まらなかった。


「ん…。んだよ、うっせぇなぁ」

「お、遥起きた!なぁなぁ昼休みなんだけどさぁ」

「おー」


七海が目覚めると途端に話題の中心は七海になる。

もうスポーツ補助係どころではない。


「………っ、あの!!!!」


こんなに勇気を振り絞ったのは初めてだった気がした。


私はこのままでは係が決められないことを危惧して、ざわざわと落ち着かないクラスで大きな声を出し、もう一度彼らの視線を集めた。