「ラバル王子!うちの子が昨日からずっとグッタリして元気が無いんです・・。
病院はどこも一杯で・・お願いします・・助けて下さい・・・。」
「安心しなさい。
今回の豪雨による怪我や病気で人手不足なのは聞いている。
動物病院の医師達も共に連れてきたからすぐに診てあげるよ。」
「ありがとうございます・・ありがとうございます。」
民のみんなが一斉に物資を受け取る中、
グッタリしたイヌを抱える1人の老婆にラバル様が優しく声を掛ける。
「よく頑張ったな。もう大丈夫だぞ。」
老婆からイヌを貰うと、ラバル様は優しく抱きかかえながら・・その目には涙を浮かべていた。
「ラバル様。あまり王家の人間が人前で涙を流すのは・・。」
「カズマ!見ろこの子を・・。
こんなに衰弱しきってしまって・・。
この姿を見てなんとする!」
「・・・失礼しました。」
ラバル様と共に、その後も街中の避難所を回って民とそのペットを診る。
まだ豪雨の影響で地固まっていない地面をバシャバシャと歩きながら、
日が暮れて1日を終える頃には2人とも泥だらけになっていた。