「この間のお詫びに来ただけだ」

 俺は、勇太に見向きもせず言った。


「なら、もう来るな?」

 勇太の言葉に、俺は動かしていた手を止め顔を上げた。


「なぜだ?」


「俺が、お前を嫌いだからだ」

 勇太に好かれているとは、はなから思っていないが、あまりストレートに言われると、けして気分がいいものではない。


「俺は、お前に、何かしたのか?」

 取りあえず理由を聞かなければ、はいそうですかとは言えない。

「一人で来たのか?」

 勇太は質問には答えず、質問を返してきた。


「ああ……」


「絶対に、この間ビーチで騒いでいた奴らをここに入れるな」


「えっ」

 少し驚いたが、そもそもそんなつもりはない。


「お前の周りにいる奴らの中に、たちの悪いのと絡んでる奴がいる。係わるとろくな事にならない。詫びの気持があるのなら、この店にかかわるな」

 勇太は、そういうと店から出て行った。

 俺は、あの日から仲間とは係わっていなかった。しょせん俺の金が目当てで集まってきた奴らだ。
 それに、もう、俺には飲んで騒ぐ時間は必要なかった。