私が傷つけてしまったのは、高橋くんだけでは無かった。

海の風を冷たく感じ始めたころ……

それでも、四季折々の海が好きで潜りに来る人や、海岸にはサーファーの姿もある。店にも、昼時は海で過ごした人やドライブ途中の人などで、それなりに活気がある。


 ランチタイムも過ぎ、人が引け店も落ち着き出した時だ。


 店のドアが開き、人が入って来た。


「いらっしゃいませ…… あっ……」

 
店に入って来た人の顔に目を向けると、一瞬にして緊張が高まり、台を拭いていた手が止まった。


「どうして?」


 そう言って力無く、青白い顔で入ってきたのは由梨華だった。以前、店に来た時の華やかさや勢いも無かった。