「桜ちゃんはどう?」

「桜は大丈夫です。ひさ子さんも毎日マンションに来てくれるので」

「それなら良かった」


あれから六日。
桜は私達のマンションにいる。
母は何とかしたら連絡をすると言っていたけれど、いつその連絡は来るのかな……。


そんなことを考えていたら、見慣れたマンションが見えてきた。
そういえば、久しぶりの二人きりの時間だったな。
僅か五分程だけれど。

仕方ない。
家には桜がいるしね。

そして車が駐車場に緩やかに停まる。


「椿、待って」

車から降りようとしたら海さんが引き止めた。
なんだろうと振り返ろうとしたら、


「えーーーー……っ!!?」


右肩を掴まれたかと思ったら顎を掴まれ、横を向かされて。

すると唇には生温かい感触。