え?

何今の、音と声……


海さんの驚いた声で目を開けると気付いた。

自分の両手が九十度前に上がって、突き出していることに。

海さんはというと、一メートル前の壁に張り付いている。


どうやら私の両手は無意識に、思い切り海さんを突き飛ばしてしまったらしい。


「ご、ごめんなさいっ!海さん!続きを!」

私は海さんに謝りながら恐る恐る顔を覗く。

絶対に怒ってるよね?
拗ねたよね?
覚悟してたんじゃないのかって呆れたよね?


「あははっ」

怒っているかと思ったのに、何故か海さんは肩を震わせて笑っている。