「俺に触れられないのは、ドキドキしすぎるからなんだ」

そして満面の笑みになった海さんを見て、私は居た堪れなくなる。

恥ずかしすぎて逃げたくなって斜め下を向いたら、頬に温もりを感じて。

視線を上げると、優しい形の海さんの双眸の瞳と目が合って、鼓動は高鳴る。


「俺も不満なことはこれから口にするから、椿もちゃんと言って。今回はすれ違っちゃったけど、これからはちゃんと話そう。俺達、夫婦でしょ?だから秘密はお互い無し。一緒に居る時間はまだまだ長いからね」


夫婦……

なんて素敵な響きなの……


私達は夫婦だから、これからずっと一緒に生きていく。

秘密を作っていたら、今回みたいに溝が出来てしまう。


「……エアコン、寒かったです……」

私は素直に本音を溢した。

海さんとの間に溝を作りたくない。

すると目の前の海さんは嬉しそうに笑う。


「本音を言ってくれて嬉しい。俺は温度を上げても大丈夫だから、今日からはまた一緒に寝てくれる?椿と一緒に眠りたいから」

「はい……」