「この世の終わりみたいな顔してた。ずっと笑わなかったから」

それを聞いて、胸が苦しくなった。

私が起きたからこそ、笑える話になった。
笑える話に出来て良かった。

「椿ちゃん。海のためにも起きてくれてありがとう。改めて海をよろしくね」

御義母様は私に笑顔で言った。




昼過ぎに検査をした。
とくに異常は無く、傷口もかなり閉じているので、一日様子を見て何も無ければ家で療養にはなるがもう退院出来るそう。


「海さん、帰らないんですか？」

もうすぐ面会時間も終わりだが、今日も帰らない海さんに思わず言った。


「椿は一人になりたいの？俺は離れたくない」

普段大人な海さんなのに、私が座っているベッドの横にちょこんと座り、私の手を握りながら卑怯なくらいの甘えた声色を出した。

海さんって大人だけれど、たまに甘えた子供みたいになる。

そんな海さんに胸が甘く疼く。