「椿!椿!」


何度、名前を叫んだか分からない。

声が掠れていることに俺は全く気付いていないけれど名前を呼び続ける。

ずっと機械のアラームが聞こえる。

周りに居る救急隊員は休むことなく動いてる。

病院の血が不足していると憔悴した顔で言いながら。


「俺は彼女と同じAプラスです!俺の血を使って下さい!」


あの血液型を訊いた日、こんなことになるなんて思いもしなかった。




「手術は成功しました。最善は尽くしました」

手術を終えて疲れきった顔の医者が俺に視線を合わせずに言った。

医者なら不安を与えるような、そんな暗い表情を見せるなよ。

そう言いたがったが、何とか喉でその言葉を留めた。