ブラウスの赤色は益々拡大していた。

とりあえず止血だ!


ナイフは抜く時に傷口を広げてしまうかもしれないし、栓になってくれてるかもしれないから抜かない方が良いはず。

俺は血が少しでも傷口から溢れないようにポケットからハンカチを出して傷口から当てたが、すぐにハンカチは真っ赤に染まる。

慌ててスーツのジャケットを脱いで傷口を塞ぐように当てた。

でもどんどん血は溢れてくる。


「お願いだから止まれ!止まれよっ!」

さっきから震えが止まらない。

いつもの椿の白い肌が益々白さを増していくから。


「私が憎い?」

飛んできたその声に反射的に顔を向けると、こんな状況になっているのに未だに笑っている弥生。