「救急車!」

俺はそう叫んでポケットから携帯を出すと119番と押そうとした。

すると突然携帯が手から無くなった。

弥生が俺の手の中から抜き取って遠くに投げたから。

救急車を呼べなかった。

でも確か、椿が警察を呼んだと言った。

助けは来る。


「海、無駄なことしなくて良いから、早く私と行こうよ?」


笑顔で、何を言ってるわけ……?


その言葉と態度に自然に眉間に皺が寄る。

でももう喋りたくもない。
声もその姿も見たくもない。

俺は無視をして椿を見る。