拓哉side

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(しっかし、変わったことやってんだな。)

俺は顔を顰め、イリヤを見つめた。
俺には分かる。あいつは『奴ら』の仲間だ。
なんにせよ、普通に会話出来る相手が
スパイでよかった、それに向こう側の奴らが
こちらにいれば勝率は上がる。

拓哉「まぁ、死んでもいいけど」

俺は小声でそう呟き右手首を抑えた。
丁寧に包帯で巻かれており、周りには
病んでるとか、自傷してるとか思われてる
と思うがそういった訳では無い。

拓哉「.....っ!」

その手首を見ていると妙に苛立ちを覚え
頭を左右に激しく振った。
ダメだ...考えちゃダメだ...
今は、今は気づかれてはいけない。
普通のふりをしないと。