平穏な時間が過ぎていくなか、今日は、朝から社長は秘書である私を連れ、得意先の創立記念パーティーに参加していた。

「挨拶回りしをしてくるから、結愛は食事を楽しんでいなさい」

「ご一緒しなくてもよろしいですか?」

「あぁ、堅苦しい挨拶ばかりだから、私1人で行ってくる」

それだけ言うと、バイキングの前に私を置き、挨拶回りしに行った。

知り合いのいない、大きなパーティーに気後れしながらも、美味しそうな料理にてをつける。

「…スゴい、美味しい」

流石は大手ホテルのバイキング。

私は1人、料理に夢中になっていた。

「クスッ…美味しそうに食べるな」
「…っ?!」

突然横に立っている人に声をかけられ、驚いた私はむせてしまった。

「あ!ほら、これ飲んで」
私は水をもらってなんとか流し込み事なきを得た。

「驚かせるつもりはなかったんだ。ごめんな。あんまり美味しそうに食べてるから」

そう言って、笑みを浮かべたのは、高身長でイケメン。高そうなスーツに、腕には高級時計。

どこかの社長だろうか?

私は皿を置き、挨拶した。

「堅苦しい挨拶は無しで。それ、美味しいの?」
「はい、とっても。よろしければお取りしますよ」

「そう?じゃあ、適当にお願いしようかな」
「はい、それじゃあ…」

適当に彩りを考えつつ更に並べると、それを手渡した。

「うん、旨い」

その言葉にホッとして、自然と笑みがこぼれる。

1人で寂しかったのが嘘のように、彼のお陰で楽しい時間になった。