「何?」

「この世に性を受けた時から、女の子ですよ」

重大な現実を突き付けられ、良樹はポカンとした顔をしている。

私は誤解を解こうと、話を続ける。

「確かに見た目はショートカットだし、背も175センチあるし、きれいな顔とはいえ、イケメンに見えるけど、正真正銘女の子ですよ」

良樹は驚いた顔で、光を見た。

光はふんと、鼻を鳴らし、良樹にあっかんべーして見せた。

「言ったじゃないですか?光は親友だって。どうこうなることなんて、あり得ないからって。私も、光も、女の子同士でどうこうなるのは嫌ですけど」

そう言って、困ったような笑みを浮かべると、良樹は私を抱き寄せた。

そのまま、良樹は、光に、目線を写す。

「何?」

怪訝な顔で光は言う。

「勘違いしてすまない」
「私は自分が男なんて一言もいってないよ」

「本当にすまない」
「私と結愛を疑うなんて、結愛が可哀想」

光の言葉に、良樹は、私を見下ろして謝る。

「結愛、疑ってゴメン」
「光は、私にとって大事な大事な親友です」

私の言葉に、良樹はわかったと頷く。

仲直りしていく私たちを間近で見ていた光は不機嫌に。

「近藤光さん」
「何よ?」

「俺は、結愛を本気で愛してる。でも、結愛が望まなければ、結婚はない。結愛は俺の全てだ。結愛が望めば、今すぐにでも結婚をしてもいいと思ってる。それほど大事な女だ。」

真剣な顔でそう言われ、光ははぁっと、ため息をついた。

「その言葉、忘れないで。結愛が不幸せになるようなら、容赦なく奪うから」

そう言うと、光は私の目の前まで来て、頭を優しく撫でると、もう一度良樹にあっかんべーして、部屋に戻っていった。