次の日から、毎朝、オフィスが近いこともあり、光と一緒に出社した。

憂鬱な満員電車も、光が守ってくれて、光の笑顔に癒されて、毎日が楽しい。

「有坂さん」
「はい、なんでしょうか、社長」

一日のスケジュールを確認したあとに、社長が私を呼ぶ。

「…ここ数日、やけに明るい気がするんだけど」

社長の言葉に、思わず顔が緩む。

「親友が、アメリカから帰国して、今近くのオフィスで働いてるんです。毎日一緒に出社したり、色んな話をしたりで楽しくて」

「そう、それは良かった」

「はい!ぁ、今度紹介しますね。本当に素敵な子なんです」

そう言った数日後。

プライベートではなく、仕事で初対面を果たすことになる。

「お待ちしておりました、三浦専務」
「久しいね、笠原社長。そちらは新しい秘書の方かな?可愛らしいね」

取引先の三浦専務に言われ、思わず頬を染めて頭を下げる。男の人に誉められるのは、お世辞でも、なかなかないので恥ずかしい。

「お久しぶりです、三浦専務…そちらは?」

三浦専務の一歩後ろに、ブラックスーツを着こなしたイケメンが。

「あぁ、今日は今後の取引をこの、近藤光に一任したので、顔見せに来たんだ」

「光」「結愛」

私と光の声が重なって、三浦専務も社長も、驚いた。

「知り合いか?」
「はい。この間言ってた親友です」

社長は、何だかご機嫌ななめ?

「そうか、それなら、何かと好都合だろう。そうだ。この後、予定がないなら、夕食を一緒にとらないかね?」

三浦専務の提案に、何の予定も無かった私たちは頷いた。