どこかイラついたようにそう言った琉聖は、ギジリとベッドのスプリングを鳴らして私の顔横に手を置くと、そのまま反対側の人差し指でおデコをパチンと軽く弾く。



「……痛いよ…」


「痛くしてんだよ、だから泣きたきゃ泣けば」



目頭が熱くなる。グッとこらえていた何か緩んでいくのを感じる……



「…痛いってばぁッ…」



そんな言葉が口先から溢れ落ちて、琉聖が私のおデコを弾いた指を掴むけれど。


本当は痛くなんてない、ちっとも痛くない。
だって琉聖が弾いたおデコへの衝撃は本当に小さなものだったから。



琉聖はやっぱり優しい。


優しくてもっと涙が溢れてくる。



「琉聖…私…フラれたの。梓にフラれた……」



ポツリポツリと溢れ落ちていくみたいに言葉が吐き出されては…小さくなって消えていく。



「は!!?」



そんな私の発言に、琉聖が心底驚いたような声を出すと。涙で潤んでいる瞳でも分かるほどのビックリ顔をしている。



「……そんなに驚く事…?」


「いや、だってお前…フラれたって…嘘だろ?」


「何でこんな事嘘つくの…」


告白をして、ハッキリ断られたわけではないけど…でも梓は私の気持ちには答えてくれなかった。
それが答えなのは聞かなくても分かる。