「アイツはさ、いつだって誰かの為に自分を犠牲にして傷を作ってきた。しかもそれが当たり前だとさえ思ってる。そんな優しくて不器用な奴なんだ」
「……うん…」
「だから俺達はアイツに憧れ、尊敬してる。そして誰よりも相手を思いやる事の出来る奴だからこそ、シルバーナイトの全員が梓の幸せを何よりも願ってる。」
シルバーナイトの皆んなが梓の幸せを願ってる。
何となくそれはずっと感じていた事。
皆んな梓を好いてる。
皆んな梓を大切に思ってる。
そして誰よりも尊敬され、憧れの存在だった。
「でもそれは1人じゃダメだ。一人きりで幸せになれる奴なんて居ない。ねぇ莉愛ちゃん、この意味わかるかな?」
「……え?」
「俺は、梓を本当の幸せに導いてくれるのは莉愛ちゃんだってそう思ってるんだよ」
梓を本当の幸せに……
そしてそれを導くのは私…?
悠真の言葉に一瞬思考が追いつかなくて、だけど熱のある頭を冷静にするとすぐに違う考えが頭を支配する。
「……悠真、それは違うよ」
だって梓には朱音さんがいる。
彼の隣は私の居場所じゃない。
「梓の一番は朱音さんだよ……」