「俺がシルバーナイトに入ったのは中学三年の冬。そこで初めて梓に出会った」


私の知らなかった皆んなの過去。
聞くことのなかった物語。



「もともと梓はあの容姿だし喧嘩の強さもハンパじゃなかったからかなり有名で、会ったことはなくても噂はよく耳にしてた。一方俺と琉聖は幼馴染の腐れ縁。いつも一緒にツルんで喧嘩三昧」




喧嘩三昧だったんだ。今の悠真からは何だか想像もつかない。



「別に何が楽しくて喧嘩ばっかりしてたのか、今じゃ良く覚えてもない。けど当時はそれが日常で当たり前みたいに傷ばっかり使ってたんだ」



何が普通で何が普通じゃないのか。
何が当たり前で何がそうではないのか。


それは人それぞれで、きっと正解なんてない。
だけど、悠真と私の生活はやはりかけ離れていたんだと良く分かる。



「梓はさ、いつも冷静で落ち着いてて。俺達みたいな馬鹿とはどこか少し違って見えた。大人びてた。初めはそんなところが余裕気に見えてなんか腹立たしく思ったりもしてさ、俺と琉聖で同じチームなのに喧嘩うったんだ」