口の手前まで出かかった言葉が、発せられる寸前で止まる。
もう、梓には会えない……
だけど、迷惑をかけて心配してくれていると思うと…そんな自分勝手な事は言えなくて。
だからか、なかなか話出さない私に悠真は心配気な顔を向けると
「やっぱり…何かあった?」
私の身長に合わせるようにしてかがんだ悠真は、私の持っていた紙袋を持つと「莉愛ちゃんは、本当に自分の心を見せるのが苦手だね」と言って優しく私の頭に手を置いた。
「……悠真は、優しい」
「莉愛ちゃんは特別だからね、うんと優しくするよ」
「…特別」
「そう、特別」
「…なんで?」
「大切な人だからだよ」
「大切…私も、悠真が大切」
「うん、ありがとう」
「………」
「だから、辛い事があるなら言って欲しい。話して欲しいな」
優しく穏やかで温かい悠真の声に涙が出そうになる。だけどそれをノドの奥で飲み込むようにして無理矢理止めた。