別にやましい事があるんじゃない。


ただ、私が黒雅に連れて行かれたと知ってシルバーナイトの皆んなが何にもしないとは思えない。モメてほしくないし、皆んなに私のせいで怪我をしてほしくない。


それに実際は、本当に新には何もされなかったわけで……むしろ助けられた。だけど私が黒雅と一緒だったと聞いたら皆んなは間違いなく黒雅に怒りを向けるだろう。


だから皆んなに見られるわけには……


それに彼らは不思議な人達だった。
今まで私が見てきた黒雅の人とは違った。



ナツメやカケルや新は…以前私を襲ってきた人達とは同じチームとは思えない…そんな気がしたんだ。



パシャパシャと大きな水音が響く。

それに合わせるようにしてうつむいていた顔をゆっくりと上げた。


「莉愛ちゃんっ!!」


焦ったような大きな声、まるで怒鳴るみたいに力強く震えている。



暗く染まっていた空間は、街灯のおかげで少しばかり明るくて…遠くからボンヤリとした複数の影と足音が私に慌ただしく近付いてきた。



「…悠真」



傘もささず雨に濡れた悠真は私に向かって全速力で走ってくると、そのまま私の肩をガッシリと掴んだ。



「莉愛ちゃん無事!?良かった!!本当見つかって良かった」