新に連れられるようにして玄関を出れば、そこがマンションだと言うことが分かった。


彼の右手には紙袋が握られている。そこから見えるのは紺色のモノ。多分私の制服だ…乾かしてくれたのだろう。



「あの、それ私のですよね…?自分で持ちます。すみません」



少しだけ小走りで新の背中を追うようにして走ると、やはり頭がボーっとして一瞬身体がよろめいた。


それにすぐさま反応するようにして新が私の肩を支えグイッと力強く抱き寄せる。



「大丈夫か」



いくら美形には梓達で慣れてるとはいえ…こんな間近でやけに整った顔を見るのは心臓に悪くて、思わず目線を外すようにして「…はい」と小さく答えると新は呆れたようにため息を吐き出した後私の肩を引き寄せたまま歩き出す。



「あの…肩」


「また倒れられたら困る」


「…大丈夫です」


「フラついてるそばから言われてもね」


「………」



確かにそれはごもっともだ。こんなフラフラの千鳥足で言ったってまるで何の説得にもならない。



「君は甘えるのが極端に苦手なんだな」


「……え」


「それは梓の前でもそうなのか?それともアイツの前では違うのかな」